車はどこに売る?下取り・買取店・複数社・廃車買取の選び方【2026年9月】

この記事の要点
- 売り先は大きく4つ。下取り・買取店に1社・複数社に見てもらう・廃車買取です。値段だけでなく手間と日数が違います
- 車の売却はクーリング・オフの対象外です。契約する前に、キャンセル料と支払いの条件を読んでください
- 知っている修復歴・事故歴を査定のときに申告していれば、契約後に「修復歴があった」として減額を求められても応じる必要はありません(国民生活センター)
結論:4つの出し方があり、違うのは「手間と日数」です
どれが高いかは車によって変わります。先に決められるのは、どこまで手間をかけるかのほうです。
車の売り先は、細かく分ければきりがありませんが、形としては次の4つです。
| こういう方 | 向いている出し方 | 理由 |
|---|---|---|
| 次の車をその店で買う。手続きをまとめたい | ディーラーで下取り | 購入と売却が1か所で済み、納車まで今の車に乗れることが多い |
| 近くの買取店に持ち込める。早く決めたい | 買取店に1社 | その日のうちに金額が出ることがある。ただし比べる相手がいない |
| 手間をかけても条件を比べたい | 複数の会社に見てもらう | 同じ車でも、会社によって評価は変わります |
| 動かない。車検が切れている。年式が古い | 廃車買取 | 廃車でも引き取る会社がある。解体すれば重量税が戻ることもある |
この表の前提どの出し方が高く売れるかは、車種・年式・走行距離・時期で変わります。ここに書いたのは手続きの形の違いで、金額の順位ではありません。
そして売り先を選ぶ前に、知っておいてほしいことがあります。
先に、売るときの決まりを3つ
中古車の売却をめぐる相談は、全国の消費生活センターに年1,000件を超えて寄せられています。
国民生活センターが公表している相談件数です(PIO-NET。中古車の売却に関するもの)。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2018年度 | 1,151件 |
| 2019年度 | 1,229件 |
| 2020年度 | 1,211件 |
| 2021年度 | 1,519件 |
| 2022年度 | 1,157件(2023年1月31日までの登録分) |
内容は、査定のときに強引に契約させられた、契約後に減額された、キャンセルに高額な費用を求められた、といったものです。どれも「売り先をどこにするか」より前の、契約の段取りで起きています。
1. 車の売却は、クーリング・オフが使えません
訪問販売などで使えるクーリング・オフは、特定商取引法の制度です。自分の車を売る契約は、この対象外です。
つまり「あとで考え直す」が、制度としては用意されていません。査定額に承諾する前に、条件を確かめてください。署名がなくても、口頭の合意で契約が成立する場合があります。
2. 申告していれば、契約後の減額に応じる必要はありません
契約したあとで「修復歴があった」「事故歴が見つかった」として減額や解約を求められることがあります。これについて国民生活センターは、はっきり書いています。
買取業者は査定のプロとしての注意を払って買取金額を算出しています
プロが見て出した金額なので、あとから「見落としていた」と言われても応じる必要はない、という考え方です。
ただし、これには裏返しがあります。自分が知っている修復歴・事故歴は、査定のときに必ず申告してください。隠していた場合は話が変わります。
3. キャンセル料は「金額」と「いつから」を契約前に読む
同じ資料には、支払いについての一文もあります。
買取代金の支払いがなされるまで、車および移転登録書類等の引き渡しを延期することも一法です
車と書類を渡してしまうと、こちらの手元には何も残りません。いつ振り込まれるのかを、契約書で確かめてください。
キャンセル料については、買取業界の団体であるJPUC(一般社団法人日本自動車購入協会)が考え方を公表しています。
| 決まっていること | 中身 |
|---|---|
| 契約は原則キャンセルできない | 口頭の約束も、書面と同じ拘束力を持つ |
| モデル約款なら引き渡しの翌日まで | JPUCの自動車買取モデル約款(または同等の約款)を使う店なら、車の引き渡しの翌日までは負担なく解除できる |
| キャンセル料の中身 | 陸送費・メンテナンス費・出品料などの実費として請求される(車が運ばれた後・整備に入った後・オークションに出品された後) |
| 上限 | 消費者契約法9条1号により、平均的な損害額を超える部分は無効 |
どちらが言っているか国民生活センターは公的機関、JPUCは買取業界の団体です。モデル約款の話は、その約款を使っている店にだけ当てはまります。使っているかどうかを聞いてください。
困ったときの相談先は、消費者ホットライン 188(いやや)です。
4つの出し方を、順番に
ここからが売り先の話です。向いている人と、気をつけることを並べます。
① ディーラーで下取りに出す
次の車を買う店に、今の車を引き取ってもらう方法です。
- 向いている方:手続きを1か所にまとめたい。次の車が決まっている
- 気をつけること:値引きと下取り額が合わさって1つの支払総額になるため、どちらでいくら得をしたのかが見えにくくなります
現場で見ている範囲では、ほとんどの車は新車のときより価値が下がります。フェラーリやランドクルーザーのように、下取りの値が下がりにくい車は一部です。
また、製造から25年を過ぎた車は、アメリカへ輸出されて値が上がるときがあります。ただしこれは車種と時期によります。一人の見立てで、統計ではありません。
25年という数字には理由があります。アメリカの税関・国境警備局(CBP)が、輸入の一般ルールとして次のように示しています。
As a general rule, motor vehicles less than 25 years old must comply with all applicable Federal Motor Vehicle Safety Standards (FMVSS) in order to be imported permanently into the United States.
製造から25年未満の車は、アメリカの安全基準に適合していないと恒久的に輸入できない、という決まりです。裏を返すと、25年を過ぎた車はその基準を満たさなくても輸入できます。古い日本車が海外から探されることがあるのは、こうした事情が背景にあります。
この決まりの範囲25年の例外は安全基準(FMVSS)についてのものです。排ガスの基準・通関・州ごとの登録などの条件は別にあります。25年を過ぎれば必ず高く売れる、という話ではありません。
② 買取店に1社、見てもらう
買取を専門にしている店へ、直接持ち込む方法です。
- 向いている方:近くに店がある。早く手放したい。やりとりを増やしたくない
- 気をつけること:他社の提示額とは比べられません。その店の金額が妥当かどうかは、別の見方(同じ車種の中古車価格を見るなど)で確かめることになります
③ 複数の会社に見てもらう
同じ車を何社かに見てもらい、条件を比べる方法です。一括査定のサービスもここに入ります。
- 向いている方:手間をかけてでも条件を比べたい。日数に余裕がある
- 気をつけること:申し込んだあと、複数の会社から連絡が来る形かどうかを、申し込む前に確かめてください
連絡の取り方はサービスによって違います。申し込みの画面に「何社に情報が渡るか」「どの方法で連絡が来るか」が書かれています。そこを読んでから送ってください。
そして査定のときは、前に書いた3つの決まりがそのまま効いてきます。とくにキャンセル料は、会社ごとに条件が違います。
④ 廃車として買い取ってもらう
動かない車、車検が切れた車、修理代が高くつく車の出し方です。
廃車でも買取してくれるところはあります。「もう値段が付かないから処分」と決める前に、引き取りの会社に聞いてみてください。
もうひとつ、廃車には戻るお金があります。自動車リサイクル法にもとづいて適正に解体された場合、申請により、車検の残り期間に相当する自動車重量税が還付されます。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 解体されたこと | 自動車リサイクル法にもとづいて適正に解体されること |
| 申請の出し方 | 解体を事由とする永久抹消登録申請書または解体届出書と同時に、還付申請書を出す |
| 車検の残り | 残存期間が1か月以上あること |
| 支払いまで | おおむね2か月半程度 |
同時に出さないと、この還付は受けられません。手続きを業者に任せるときは、還付の申請まで含まれているかを確かめてください。
戻るお金は、売るときと廃車にするときで違います
同じ車を手放しても、払ってあったお金が戻るかどうかは、出し方で変わります。
車検や登録のときに払っているお金は5つあります。どれが戻るかを並べます。
| 払ってあるお金 | 売るとき | 抹消・解体 |
|---|---|---|
| 自動車税(普通車) | 戻りません | 翌月から減額 |
| 軽自動車税 | 戻りません | 戻りません |
| 自賠責保険料 | 解約できません | 解約すれば戻ります |
| 自動車重量税 | 戻りません | 条件を満たせば |
| リサイクル料金 | 買い手から受け取る | 戻りません |
「廃車にした」だけで、まとめて戻るわけではありません。必要な手続きが、税や保険ごとに違います。
- 自動車税は4月1日時点の所有者に1年分がかかります。売って名義変更しても制度としては戻らないので、買取店との精算しだいです。抹消登録(一時抹消・永久抹消)をすると、抹消した月の翌月から年度末までの分が減額され、すでに納めていれば原則として還付されます。3月に抹消した場合は残りの月がないため、戻る分はありません
- 軽自動車税には月割の制度がありません。年度の途中で譲っても廃車にしても、その年度分は全額です
- 自賠責保険料は、売却・名義変更だけでは解約の理由になりません。抹消登録などをしたあとに、自分で解約の手続きをすると、残りの期間に応じて返還されます。必要な手続きは、買取店か保険会社に確かめてください
- 自動車重量税は、「廃車にした」だけでは戻りません。自動車リサイクル法にもとづく適正な解体と、永久抹消登録申請書または解体届出書と同時の還付申請、車検の残り1か月以上がそろったときに戻ります(条件は上の表)
- リサイクル料金は、売るときは「車両の値段+リサイクル料金相当額」として買い手から受け取ります(資金管理料金を除く)。使用済自動車として処理する場合は戻らず、未払い分があれば支払います
確認した日と出どころ2026年9月20日に、東京都主税局(自動車税)・文京区(軽自動車税)・日本損害保険協会(自賠責)・自動車リサイクル促進センター(リサイクル料金)で確認しました。自動車税は都道府県、軽自動車税は市区町村の税です。お住まいの自治体の案内もご覧ください。
売るときは「戻る」のではなく「受け取る」
リサイクル料金だけは、少し形が違います。
自動車ユーザーは、自動車販売店などの事業者に中古車を引渡します。このとき、相手方から車両価値金額+リサイクル料金相当額(※)を受取ります。
買取金額の中にリサイクル料金相当額が含まれているか、明細で確かめてください。車両の値段とは別に受け取るお金です(※印の資金管理料金は、最初に払った方の負担のままです)。
輸出は別の扱い車が海外へ輸出された場合は、所有者が所定の手続きをすることでリサイクル料金の取戻しができます(輸出した日から2年間)。廃車と輸出は同じ扱いではありません。
「廃車にした日」は、車を渡した日ではありません
自動車税のところで、いちばん誤解が多い点です。
廃車した日とは業者等に自動車を引き渡した日ではなく、運輸支局や自動車検査登録事務所で実際に抹消登録した日となります。業者等に自動車を引き渡しても直ぐに廃車されるとは限りません
渡した月と抹消登録の月がずれると、その分だけ戻る額が減ります。引き渡したあとに、抹消登録が済んだかを業者に確認してください。
東京都では、還付に関する通知が自動で送られ、別に還付の申請をする必要はないと案内されています(届くのは抹消登録が確認されてから1か月程度)。受け取り方や時期は都道府県によって違うので、お住まいの都道府県の案内で確かめてください。
そして自賠責だけは、自分で解約の手続きをしないと戻りません。売却や名義変更は解約の理由にならず、抹消登録などをしたあとの手続きになります(日本損害保険協会)。返還の条件も会社ごとに案内が違い、たとえば三井住友海上では残りの期間が1か月未満だと返還はありません(自賠責保険の解約・2026年9月20日に確認)。証明書に書かれている保険会社に確かめてください。
ローンが残っている車は、そのままでは売れません
車検証の所有者の欄が、自分ではないことがあります。
ローンがまだ2年残っているんですが、売れますか?
まず車検証を見てください。所有者がローン会社や販売店になっていたら、そのままでは売れません。
じゃあ、完済するまで無理ということですか。
買取金額と残っているローンを相殺してもらう方法があります。契約の前に相談してみてください。
JPUCも、買取金額と残債を相殺する処理を買取店に頼むこともできるとしています(契約前の相談が前提です)。
ただし、相殺しても足りないことがあります。
ローンが残っている車を手放すときは、残債を一括で支払う必要が出ることがあります。売った金額で足りなければ、車は無いのにローンだけ残ることになります。
足りない分をどう精算できるかは、ローン会社と買取店で条件が違います。現金でまとめて払う、別のローンに組み替えるなど、取れる方法をどちらにも確かめてください。
先に残債の額を確認してから、査定に出してください。順番が逆になると、金額が出たあとで「売れない」と分かります。
所有者の欄の見方と、売ったあとに必要な手続きは車を売る前に確かめる3つと、売ったあとに必ずやることにまとめました。
今日できること
売り先を決める前に、手を動かせることが4つあります。
① 車検証を出して、所有者の欄を見る 自分でなければ、ローンが残っている可能性があります。ここが出発点です。
② 上の早見表で、出し方を決める 決めるのは金額ではなく、どこまで手間をかけるかです。
③ 契約書の3か所を先に読む キャンセル料(金額と、いつから発生するか)・支払いの時期・減額の条項。この3つは、どの出し方でも共通です。
④ 知っている修復歴や事故歴は、査定のときに伝える あとから減額を言われたときに、こちらの立場が変わります。
査定の前に何を直して、何は直さなくていいのかは査定の前にやるべきこと・やらなくていいことに、車検を通すか手放すかで迷っている方は13年を超えた車、車検を通す?手放す?にまとめています。
この記事の情報について
この記事の筆者は、仕事で日常的に多くの車と部品に触れています(詳しい経歴は筆者プロフィールをご覧ください)。
整備士としての見立て(記事の中では「整備の現場から」と付けてあります):ほとんどの車は新車のときより価値が下がり、下取りの値が下がりにくい車は一部であること。製造から25年を過ぎた車が、アメリカへ輸出されて値が上がるときがあること。廃車でも買い取る会社があること。ローンが残っている車で、残債の一括払いが必要になったり、車が無いのにローンだけ残る場合があること。いずれも現場で見てきた範囲の話で、統計ではありません。
公開情報から引いた部分:中古車売却の相談件数と消費者へのアドバイス(国民生活センター 2023年3月22日公表、同 2024年6月18日公表)/契約のキャンセルと残債の扱い(JPUC)/25年未満の車の輸入条件(U.S. Customs and Border Protection)/廃車にしたときの自動車重量税の還付(国税庁 No.7193)。ここまでは2026年9月18日に確認しました。
手放すときに戻るお金は、2026年9月20日に確認しています:自動車税と廃車の日の考え方(東京都主税局)/軽自動車税に月割の制度が無いこと(文京区)/自賠責保険を解約できる場合(日本損害保険協会)と返還の目安(三井住友海上)/リサイクル料金の受け取り(自動車リサイクル促進センター)。
まだ確かめられていないこと:一括査定に申し込んだあとに来る連絡の本数など、数で言える裏づけは見つからなかったため書いていません。自動車税は都道府県、軽自動車税は市区町村の税で、確認したのは東京都と文京区の案内です。お住まいの自治体で違う扱いがないかは、各自治体の案内でご確認ください。
よくある質問
車を売る契約は、クーリング・オフできますか?
車の売却は、特定商取引法のクーリング・オフの対象外です。ただしJPUCの自動車買取モデル約款、または同等の約款を使っている買取店であれば、車を引き渡した翌日までは負担なく契約を解除できるとされています。契約の前に、キャンセル料の金額と、いつから発生するのかを確認してください。
契約したあとに「修復歴があった」と言われて減額されました。応じないといけませんか?
自分が知っていた修復歴や事故歴を査定のときに申告していた場合は、応じる必要はありません。国民生活センターは、買取業者は査定のプロとしての注意を払って買取金額を算出しているため、契約後に修復歴や事故歴を理由とした減額や解約を求められても応じる必要はない、としています。知っていたことを伝えていなかった場合は話が変わるため、査定のときに必ず申告してください。
下取りと買取では、どちらが高く売れますか?
一概には言えません。同じ車でも会社によって評価は変わるため、金額を比べたい場合は複数の会社に見てもらう方法があります。下取りは、新しい車の購入と手続きを1か所にまとめられることが利点です。
動かない車や、車検が切れた車も売れますか?
廃車を専門に引き取る会社があり、動かない車でも買い取ってもらえることがあります。また自動車リサイクル法にもとづいて適正に解体された場合は、申請により車検の残り期間に応じた自動車重量税が還付されます。車検の残り期間が1か月以上あることなどの条件があります。
車を売ったら、自動車税は戻ってきますか?
売却(名義変更)では戻りません。自動車税は4月1日時点の所有者に1年分がかかるためです。買取店との間で精算されることはありますが、制度として戻るのは抹消登録をした場合で、抹消した月の翌月から年度末までの分が減額され、すでに納めていれば原則として還付されます。軽自動車税には月割の制度がないため、抹消しても戻りません。
ローンが残っている車は売れますか?
車検証の所有者がローン会社や販売店になっていることが多く、そのままでは売れません。完済して所有権解除の手続きをする必要があります。買取金額と残債を相殺する処理を買取店に頼めることもあるため、契約の前に相談してください。
この記事の金額・条件は2026年9月20日に公式サイトで確認したものです。制度の改定や各社の都合で変わります。お申し込みやお手続きの前に、公式サイトや契約書で最新の内容を必ずご確認ください。



