査定の前にやるべきこと・やらなくていいこと|「標準状態」を知れば迷いません【2026年9月】

この記事の要点
- 査定には「標準状態」という出発点が決められています。外装内装は無傷、タイヤ1.6mm、車検の残りは3か月以内です
- 標準がすでに無傷なので、洗車・タイヤ交換・板金は「標準に戻すだけ」になりやすく、費用を回収しにくい形です
- 効くのは点検整備記録簿・純正部品・書類とカギ。やることは「加点を狙う」より「減点を減らす」です
結論:「標準状態」を知ると、やることが決まります
査定には出発点が決められていて、そこから足したり引いたりして金額が決まります。ここを読むと、やることが決まります。
基準第19条でいう基本価格を有する中古車の「標準状態」は、次に掲げる車両程度のものとする。
(1)外装、内装は無傷とする。
(2)エンジン、足回り関係は、走行に支障なく良好であること。
(3)車検の残月数は3ヵ月以内とする。
(4)走行キロ数は標準走行キロとする。
(5)タイヤの残り溝は1.6mm(スリップサイン)以上あること。
(6)その他、事故による修復歴、損傷減価要因、改造工作等のないこと。
| よく聞く準備 | 標準状態から考えると |
|---|---|
| 洗車・磨き | ⚠️ 標準が「無傷」なので、きれいにしても標準に戻るだけ |
| タイヤを新品に | ⚠️ 1.6mmで標準を満たす。 替えても標準のまま |
| 車検を通してから売る | ⚠️ 標準は残り3か月以内。 費用を回収しにくい |
| 小さなキズを直す | ⚠️ 直す費用のほうが大きくなりやすい |
| 点検整備記録簿を出す | ✅ 基準に「定期点検実施状況」と明記されています |
| 純正部品を戻す | ✅ 標準は「改造工作等のないこと」 |
| 複数社に見てもらう | ✅ 同じ車でも会社ごとに違います |
洗車すると高くなる、って聞いたことがあるんですけど。
金額の仕組みとしては、そうなっていないんです。ただ、車内に物が積んであると見てもらえない場所が出るので、片づける意味はありますよ。
やらなくていいこと
お金をかける作業ほど、戻りにくい形になっています。
① 車検を通してから売る
これがいちばん大きい話です。
標準状態は車検の残り3か月以内です。つまり「車検が長く残っている車」は標準より上ですが、通すのにかかる費用のほうが大きくなりやすい形になっています。
車検にいくらかかるかは車検の法定費用はいくら?にまとめました。法定費用だけでも軽で約2万6千円、普通車で約4万4千円です。
車検が近いから通してから売ろう、と考える前に、通さずに査定を取ってみてください。
② タイヤを新品に替える
標準は1.6mm(スリップサイン)以上です。スリップサインが出ていなければ、それで標準を満たしています。
替えても「標準」のままです。タイヤ代は戻りにくいと考えたほうがよさそうです。
ただし、これは「売るとき」の話です。 乗り続けるあいだの安全とは別なので、そこは混ぜないでください。安いタイヤは危ない?にまとめました。
③ 小さなキズやヘコミを直してから出す
個別査定を行う加減点の点数は、商品価値の増減に見合う金額とする。
買い取る側は、自社やグループで直せます。個人が外で直して出すと、その差額を自分で負担する形になりやすくなります。
直してから出して得になった、という話はあまり聞きません。判断に迷うなら、直さずに複数社へ。そのうえで「直したらいくら上がるか」を聞いてください。現場で見てきた範囲の話で、統計ではありません。
やるべきこと
手間をかける作業(書類・片づけ・純正戻し)のほうが効きます。
① 点検整備記録簿を出す
販売店が行う個別査定は、細則第15条で定める標準状態を基準とし、被査定車の使用経過月数、走行キロ数、車検有効期間、定期点検実施状況等を考慮し、機能、外観、形状等について加減点を行い、被査定車の現状のままにおける経済価値を判定する。
「定期点検実施状況」が、考慮する項目として名指しされています。
記録簿は、それを示す書類です。 車検証入れに一緒に入っていることが多いので、探してみてください。
② 社外品に替えているなら、純正を戻す
標準状態の6番目は「改造工作等のないこと」です。
ホイール、マフラー、ハンドル、シート。社外品に替えていて純正が残っているなら、戻して純正を一緒に渡すほうが確実です。
社外品のほうが高価でも、標準は純正です。
純正が付いていない車は、説明が必要になります。そのぶん話が長くなる、という感覚です。現場で見てきた範囲の話で、統計ではありません。
③ 車内の物を片づける
金額の仕組みとしての加点はありません。それでも片づける理由があります。
- 荷物の下は見てもらえません。見えない場所は「分からない」扱いになります(これは現場での見立てです)
- においが残ります。 内装の状態として見られる部分です
- 忘れ物を防げます(ETCカード、駐車場のリモコン、書類)
④ 書類とカギをそろえる
- 車検証・自賠責保険証明書
- 点検整備記録簿
- スペアキー(無いと説明が必要になります)
- 取扱説明書、純正ナビの取扱説明書
「無いもの」は減点の理由になりますが、あるものは当たり前の扱いです。そろえておくのは、減点を減らす作業になります。
⑤ 複数社に見てもらう
同じ車でも、会社によって値段は変わります。 在庫の状況や、その車を欲しがっている客がいるかで変わるからです。
そもそもどこに出すか(下取り・買取店・複数社・廃車買取)で迷っている方は、車はどこに売る?に4つの出し方と、契約の前に読む決まりを並べました。
売ったあとの手続きは車を売る前に確かめる3つと、売ったあとに必ずやることにまとめました。名義変更が終わるまでが売却です。
考え方は「減点を減らす」です
標準状態がすでに「無傷」なので、上に積むのは難しく、下に落ちるのは簡単な作りになっています。
査定でやることは「加点を狙う」ではなく「減点を減らす」です。
だから、お金をかける作業(車検・タイヤ・板金)は戻りにくく、手間をかける作業(書類・片づけ・純正戻し)は効きやすい、という形になります。
金額の条件各項目が実際に何点・何円動くかは、この記事では書けません。加減点基準は販売店用のもので公開されておらず、車種のクラス係数によっても変わります。
車種の条件ここで見ているのは国産乗用車の査定基準です。
今日できること
車検証入れを開けて、記録簿があるか見るところからです。
① 車検証入れを開けて、記録簿があるか見る
あれば、それだけで準備の半分は終わりです。
② スペアキーを探す
見つからないなら、査定のときに先に伝えてください。
③ 車内の物を全部おろす
トランクとシートの下も。忘れ物も一緒に防げます。
④ 車検が近くても、通す前に査定を取る
通してから売るかどうかは、数字を見てから決めてください。
⑤ 社外品に替えている部品の純正を探す
物置や車庫に残っていることがあります。
この記事の情報について
公開情報から引いた部分
- 標準状態の6項目(外装内装は無傷/車検の残月数は3ヵ月以内/タイヤの残り溝は1.6mm/改造工作等のないこと等):日本自動車査定協会「中古自動車査定基準(国産乗用車)」 細則第15条
- 個別査定で「定期点検実施状況」を考慮すること:同 基準第21条
- 加減点の点数が「商品価値の増減に見合う金額」であること:同 基準第24条
整備士としての見立て(記事の中では「整備の現場から」と付けてあります)
- 純正が付いていない車は説明が必要になること、直してから出して得になった話をあまり聞かないこと、荷物の下は見てもらえないこと。現場で見てきた範囲の話で、統計ではありません
確かめていないこと
- 各項目が実際に何点・何円動くか。加減点基準は販売店用のもので、公開されていません。 車種のクラス係数によっても変わります
- 買取業者ごとの査定のやりかた。この記事は日本自動車査定協会の基準を見ています
- 洗車が担当者の印象に与える影響。金額の仕組みとしては加点がない、というところまでしか確かめていません
よくある質問
査定の前に洗車したほうがいいですか?
しても損はありませんが、金額が上がる仕組みにはなっていません。日本自動車査定協会の査定基準では、価格の出発点となる「標準状態」を「外装、内装は無傷とする」と定めています。標準がすでに無傷なので、きれいにしても標準に戻るだけです。ただし車内の物を片づけて全体を見せることには、別の意味があります。
車検を通してから売ったほうが高く売れますか?
回収しにくいことが多いです。査定基準では標準状態の車検残月数を「3ヵ月以内とする」と定めています。つまり車検が残っていること自体は加点の対象になりますが、通すのにかかる費用のほうが大きくなりやすい形です。残りが少ない状態で売るのが標準の想定になっています。
タイヤを新品に替えてから売るべきですか?
その必要はありません。査定基準の標準状態は「タイヤの残り溝は1.6mm(スリップサイン)以上あること」です。スリップサインが出ていなければ標準を満たしています。新品に替えても、そのぶんがそのまま金額に乗るとは考えにくいところです。
点検整備記録簿は査定に関係ありますか?
査定基準の個別査定の方法に「定期点検実施状況等を考慮し」と明記されています。記録簿は、その定期点検を受けてきたことを示す書類です。準備しておくとよい書類のひとつです。
小さなキズは直してから出すべきですか?
直す費用のほうが大きくなりやすい部分です。査定基準では加減点の点数を「商品価値の増減に見合う金額」と定めています。買い取る側は自社で直せるため、個人が外で直して出すと差額を負担する形になりやすくなります。判断に迷うなら、直さずに複数社に見てもらってから決めることをおすすめします。
この記事の金額・条件は2026年9月3日に公式サイトで確認したものです。制度の改定や各社の都合で変わります。お申し込みやお手続きの前に、公式サイトや契約書で最新の内容を必ずご確認ください。



