広告を含みます

車検の見積もり、断ってよい項目と断らないほうがいい項目|整備士の見分け方【2026年9月】

この記事の要点

  1. 見積もりは5つに分かれ、断れないのは3つ(法定費用・24か月点検・保安基準に合っていない箇所)だけです
  2. 24か月点検は法令で義務です(道路運送車両法第48条・自動車点検基準第2条)。自家用乗用車は2年で計60項目
  3. 予防整備は金額ではなく理由を聞きます。「通すために必要ですか、予防のためですか」の一言でほぼ分かれます

結論:見積もりは5つに分かれます。断れないのは3つだけです

見積もりの中身は、性質の違う5つが混ざっています。削れる可能性があるのは、後ろの2つだけです。

見積書の中身断れるか
① 法定費用(重量税・自賠責・検査手数料)❌ 断れません。国に納めるお金です
② 24か月点検❌ 断れません。法令で義務とされています
③ 保安基準に合っていない箇所の修理❌ 直さないと車検に通りません
④ 予防整備(いまは基準内だが、そろそろのもの)⚠️ 相談して決められます
⑤ 車検とは別のサービス(コート・清掃など)✅ 断れます

削れる可能性があるのは④と⑤です。 そして④の中には、断らないほうがいいものがあります。

全部やらないと車検に通らない、みたいな言い方をされたんですけど。

「通すために必要か、予防のためか」を聞いてみてください。そこを分けて答えるのは整備側の仕事なので、答えられないことはまずないです。

① 法定費用は、どこに頼んでも同じです

見積もりを比べるときは、まずここを引いてから比べてください。

自動車重量税・自賠責保険料・検査手数料。この3つは国や保険に納めるお金なので、お店を変えても額は変わりません。

金額の内訳は車検の法定費用はいくら?にまとめました。見積もりを比べるときは、まずここを引いてから比べてください。

なお、どこで受けるかで預ける日数が変わります。 工場に「指定」と「認証」の2種類があるためです。そこは車検はどこで受ける?にまとめました。

② 24か月点検は、法律で決まっています

「点検はいいから車検だけ通して」は、できません。法令で義務とされています。

自動車ユーザーの責任において日常・定期点検整備を実施し、自動車の安全を継続的に確保することを法律で義務付けております。

出典:国土交通省「点検整備の必要性」(2026年9月3日に確認)

根拠は道路運送車両法第48条と自動車点検基準第2条です。

車種の条件下の項目数は自家用乗用車の場合です。車種によって項目数は変わります。

項目数
1年ごとの点検29項目
2年ごとの点検1年点検の29項目を含めて計60項目

「点検料」が高く見えるのは、この60項目を見る手間の代金だからです。部品代とは別物です。

車検に通ったから安心、ではありません

車検は「その日に基準を満たしていたか」を見る制度です。次の2年を保証するものではありません。

検査時点において自動車が安全・環境基準に適合しているか、一定期間ごとに国が必要最小限のチェックをしているもの

自動車検査証の有効期間内の安全性を保証するものではありません。

検査(車検)に合格したことをもって、点検・整備を省略できるものではありません。

出典:国土交通省「点検整備の必要性」(同じページ・2026年9月3日に確認)

車検に通ったのに壊れるのは、おかしくありません。検査の日に基準内だっただけです。点検が別に義務づけられているのは、そのためです。

③ 基準に合っていない箇所は、断る・断らないの話ではありません

いま基準を外れているものは、直さないと通りません。ただし「どこがどう外れているか」は聞いてよいところです。

ブレーキの効き、灯火類、タイヤの溝、排出ガス、ハンドルの遊び。

断ったら安く済む、という種類のものではないので、ここは見積もりから外せません。

ただし「どこがどう基準を外れているのか」は聞いてよいところです。数字で答えられる項目がほとんどです。

④ 予防整備は、理由を聞いてから決める

断っても検査は通ります。だから聞くのは金額ではなく、理由です。

いちばん判断に迷うのがここです。

予防整備は「いまは基準内だが、次の車検までに限界が来そうだ」という見立てに対する作業です。断っても検査は通ります。

だから聞くのは金額ではなく、理由です。

  • どのくらい減っている(傷んでいる)のか
  • そのまま乗ると、いつごろ何が起きるのか
  • 次の車検まで持つ見込みはあるのか

答えが返ってこない項目は、いったん保留にしてよいと思います。

現場から見て、断らないほうがいいと思う3つ

整備の現場から

ここからは整備の現場で見てきた話です。数字ではなく、見立てとして読んでください。どの部品がいつ限界を迎えるかは、車種と乗り方で変わります。

なぜ後回しにしにくいか
ブレーキまわり効かなくなってから気づいても遅い。減り方は目で見て説明してもらえます
タイヤ溝が残っていても、ひび割れと年数で性能は落ちます
足回りのゴム部品(ブーツ類)破れると中のグリスが出て、部品ごと交換になることがあります。破れる前なら安く済みます

共通しているのは、壊れ方が「じわじわ」ではなく「ある日」だということです。

タイヤの見かたは安いタイヤは危ない?にまとめました。

ゴムのカバーみたいなやつ、そんなに大事なんですか。

破れる前に替えれば部品だけで済むんですが、破れたあとだと中まで傷んでいることがあって。そうなると金額が変わってきます。

金額の条件点検料・整備料・部品代の相場は、店と車種で変わります。この記事に金額は書いていません。

⑤ 車検とは別のサービスは、断って問題ありません

「車検に必要ですか」と一言聞けば、そこで分かれます。

撥水コート、車内清掃、下回りの塗装、エンジン内部の洗浄。これらは車検の合否とは関係ありません。

必要かどうかは、その人の使い方しだいです。雪国で融雪剤の上を走る人と、屋根付きの駐車場の人では、下回りの塗装の意味がまったく違います。

今日できること

いちばん効くのは「通すために必要ですか、予防のためですか」の一言です。

① 見積書を「法定費用」と「それ以外」に分ける

法定費用はどこでも同じです。比べるのはそれ以外の部分だけです。

② 「通すために必要か、予防か」を項目ごとに聞く

いちばん効く質問です。整備の現場ではよく聞かれることなので、遠慮は要りません。

③ 予防整備は理由を聞く。金額ではなく

どのくらい傷んでいて、いつ何が起きるのか。答えが返ってこない項目は保留にしてよいと思います。

④ ブレーキ・タイヤ・足回りのゴムは、優先して考える

壊れ方が「ある日」だからです。

⑤ 断った項目は、次にいつ見るかを決めておく

断ったまま忘れるのが、いちばん高くつきます。 半年後に見てもらう、と決めておいてください。

車検のたびに見積もりを判断するのが負担なら、車検や整備を月額に含める契約もあります。ただし何がどこまで含まれるかは契約ごとに違います。 含まれないことが多いものはカーリースの「コミコミ」に入っていないものにまとめました。

この記事の情報について

公開情報から引いた部分

整備士としての見立て(記事の中では「整備の現場から」と付けてあります)

  • 予防整備で聞くとよい3つのこと、後回しにしにくい3か所(ブレーキ・タイヤ・足回りのゴム部品)、破れる前と後で金額が変わること。現場で見てきた範囲の話で、統計ではありません。 どの部品がいつ限界を迎えるかは、車種と乗り方で変わります

確かめていないこと

  • 点検料・整備料・部品代の相場。店と車種で変わるため、金額は書いていません
  • 断った場合に整備工場がどう対応するか。方針は店ごとに違います
  • 撥水コートや下回り塗装の効果。使い方や環境で変わるため、必要かどうかはここでは判断していません

よくある質問

車検の見積もりで、整備を断ることはできますか?

項目によります。自動車重量税・自賠責保険料・検査手数料の法定費用と、24か月点検は断れません。24か月点検は道路運送車両法第48条と自動車点検基準第2条で、使用者の義務として定められています。保安基準に合っていない箇所の修理も、直さないと車検に通りません。それ以外の予防整備や、撥水コートのような車検とは別のサービスは、相談して決められます。

24か月点検は必ず受けないといけませんか?

法令で義務とされています。国土交通省は「自動車ユーザーの責任において日常・定期点検整備を実施し、自動車の安全を継続的に確保することを法律で義務付けております」と案内しています。自家用乗用車の場合、1年ごとに29項目、2年ごとに1年点検の29項目を含む計60項目です。

車検に通れば、次の2年は安心ということですか?

そうではありません。国土交通省は車検を「検査時点において自動車が安全・環境基準に適合しているか、一定期間ごとに国が必要最小限のチェックをしているもの」と説明していて、「自動車検査証の有効期間内の安全性を保証するものではありません」としています。

予防整備を断ったら、車検に通らなくなりますか?

その部品がいま保安基準に適合しているなら、通ります。予防整備は「いまは基準内だが、次の車検までに限界が来そうだ」という見立てに対する作業です。断っても検査は通りますが、車検と車検のあいだで交換することになる可能性はあります。

断りにくいときは、どう言えばいいですか?

「これは車検に通すために必要ですか、それとも予防のためですか」と聞くのがいちばん早い方法です。整備の現場ではよく聞かれる質問で、答えられないことはまずありません。金額ではなく理由を聞く形になるので、角も立ちにくいと思います。

この記事の金額・条件は2026年9月3日に公式サイトで確認したものです。制度の改定や各社の都合で変わります。お申し込みやお手続きの前に、公式サイトや契約書で最新の内容を必ずご確認ください。